SNSにおける投稿拡散、すなわち「バズ」には明確な因子が存在する
――そう信じて10年、未だに私自身はバズったことがありません。
しかし研究は続けねばならぬ。人類の希望として。
本講義では、SNSにおいて異様なまでの拡散力を持つ投稿群の一種、すなわち「猫+方言+日常破壊」型ツイート(以下、CFD型)について、その構造的特性を多角的(主観)に分析いたします。

デタラメ大学 SNS考古学部 バズ因子解析学科 助教授。
専門は“四次元アルゴリズム統計”。
中学時代に「拡散希望」で始まる投稿を毎日していたことがきっかけで、拡散現象に魅了される。大学院では「バズの黄金比」なる数式を独自に捏造し、X(旧Twitter)上で発表。以後、誰にも読まれていない論文を月に2本発表し続けている。
助教授でありながら自身の投稿は1度もバズったことがない“拡散未遂のプロ”。
CFD型ツイートの定義と構文
CFD型の定義
本研究における「猫+方言+日常破壊型ツイート」とは、以下の3要素を同時に満たす投稿を指します。
- 猫:映像・画像・擬人化を問わず猫の存在が含まれる
- 方言:標準語でない語彙、または地方イントネーションを模した文体
- 日常破壊:家庭内や生活空間における“ちょっとした異常”の描写
例文

「うちのネコ、朝起きたら米炊いとった。なんでや。」
「ネッコが冷蔵庫の上で味噌汁飲んでて草(宮崎弁)」
このように、猫という安定の人気者に、
①言語的親しみ(方言)
②異常なシチュエーション(日常破壊)
を組み合わせることで、拡散力が爆発的に上昇するとされます。
構文力学的解析
当学科ではCFD型を以下の3項式で表現します。
拡散力 (D)=C(Cat成分)×F(方言係数)×D(破壊度)
- C(Cat成分)=猫の“映え度”と“躍動感”の乗算
- F(方言係数)=聞き慣れなさ × 語尾の愛嬌指数
- D(破壊度)=日常性とのギャップ(例:ネコが洗濯機を回す、など)
この式により、以下のような投稿は高得点となります。
「ネッコが風呂ためとってワシより先に浸かってて草」
→ C:◎、F:◎、D:爆発
このような投稿は、平均的RT数より約450%増加するとの分析結果が……
出たらよかったんですが、当研究室では猫が風呂に入らなかったため未検証です。
助教授による実験記録
拙者、拡井拡散はCFD型バズを自ら検証するため、架空猫アカウント「ねこ太郎@青森弁」を作成し、以下のような投稿を行いました。

「ネコ太、さっき納豆混ぜてご飯食うて寝た。人間やろもう」
「ネッコ、わいのスマホでウーバー頼んどった。タピオカきた」
結果
- RT:2
- いいね:0
- コメント1件:「誰ですか?」
…これは、猫の写真を用意しなかったことが敗因と考えられます。
また、青森弁の再現度が低く、「ガチ勢」に怒られた気がする点も無視できません。
従って、バズには“リアル”という幻想の付加が必要なのです。
CFD型の特徴
拡散心理と“共感ではない笑い”
CFD型ツイートが広まりやすい理由は、「共感」ではなく“非共感的エンタメ性”にあります。
- 「えっ何これ意味わからん(笑)」
- 「ネコ天才かよ」
- 「草」
といった反応に代表されるように、“知能の低い笑い”こそが鍵です。
このタイプの投稿は、脳が疲れているときほど拡散されやすいため、
深夜帯や昼休み直後に投稿することで拡散力が30%(当学科比)向上します。
模倣困難性とバズ格差
CFD型ツイートの最大の問題は、再現性のなさです。
- 猫が変な行動をしてくれるかどうか
- 方言が“ウケる”ものかどうか
- 投稿者の文体センス
これらはすべて偶然と才能の産物です。
助教授レベルでも(RT2)という結果しか出ないことから、ただの一般市民がCFD型でバズを狙うのは基本的に無理と結論づけられます。
CFD型の社会的意義と無意味さ
本研究の最終的な結論は、以下のような極めて学術的で有意義なものである。
バズりたいという欲望の前では、猫も言語も破壊される。
CFD型投稿は、人間がいかにSNS上で意味不明な現象に快感を覚えるかの実証でもあり、同時に「猫=万能」という雑すぎる結論への警鐘でもあります。
しかし、最終的にバズるかどうかは運と猫の気分に依存するため、科学的な制御は不可能という結論に達しました。
【まとめ】
- 猫+方言+日常破壊は、爆発的拡散力を持つ“偶然の産物”である
- その構文は再現困難であり、RT数は猫の気まぐれに支配される
- それでも人は今日も、ネッコにカメラを向け、バズを祈る
…たぶん、バズるとはそういうことなんです。
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