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大学食堂の「ビリビリ椅子」で味わう不思議な昼休み

大学の学食にある椅子は、ときどき強力な電流が流れる不思議な仕様です。静かに観察しながら体験した、学食のもう一つの顔を記録しました。

今日の昼休み、大学 学食の椅子に座ると、背もたれの奥から小さな稲妻が通り抜けました。
音はほとんどありませんが、空気が一瞬だけ深呼吸します。
私は水を一口飲み、いつものように静かに観察を始めました。

目次

学食の椅子は静かに光っています

ビリビリ椅子
ビリビリ椅子

学食の椅子は並べ方も色も普通ですが、ときどき強い電流が流れます。
合図はありませんし、表示もありません。
私たちはその可能性を受け入れて、昼休みを過ごしています。

座る前の一秒に、少しだけ緊張が生まれます。
荷物を床に置く角度も、背筋の伸ばし方も、いつもより丁寧になります。
大学の食堂は、今日も目に見えない規則で静かに運転しています。

電気が流れるタイミングの「間」

学食の湯気と静かなテーブル面

電気は合図もなく到来します。
箸を持ち上げたとき、ペンを回したとき、あるいはただ息を吸ったときです。
時間の布に、細い針で穴を開けるような感覚が残ります。

その一瞬、周囲の会話が薄くなります。
誰かの笑い声が遠のき、トレーの擦れる音だけが近くなります。
私は姿勢を保ち、目の前の湯気を見つめます。

そして何もなかったように音が戻ります。
椅子は沈黙のまま、次の誰かを待っています。
私たちはその「間」を、昼休みの一部として学んでいきます。

席選びの小さな戦略

学食のスプーン

席を決めるとき、通路側を選ぶ人が増えました。
すぐ立てるから安心だと、皆が同じ説明をします。
私は窓際に座り、光の具合で今日の気分を整えます。

「奥の二列目は当たりやすい」という噂があります。
証拠はありませんが、列の密度や床の配線の影を見て、なんとなく納得します。
占いのように、根拠のない納得は歩きやすさをくれます。

私は人の流れを見てから席を決めます。
空席の向こうで湯気が立ちのぼり、タイミングは水面のきらめきに似ています。
小さな選択が、昼休みの輪郭を決めます。

料理とビリビリ椅子の相性を記録します

電気を受けた直後は、味の輪郭がはっきりします。
塩味は遠くまで届き、甘みは舌の同じ場所に長く留まります。
私はそれを、音量ではなく解像度の変化だと感じています。

相性の良い日に出会うと、昼休みが少し長く感じられます。
唐揚げの衣は乾いた紙のように軽く、カレーの香りは路地の奥まで歩きます。
私のメモは、今日もお皿の余白で増えていきます。

味覚が少し鮮やかになる理由は不明です

スプーンに映る学食の天井灯

科学的な説明は知りません。
けれども電気の後、味は輪郭を揃え、舌の地図が読みやすくなります。
大学の学食の定食は、地図の凡例を急に増やすことがあります。

カレーは特に鮮やかです。
スパイスの粒が一つずつ名乗り、ルーはさらりと道を示します。
ビリビリ椅子のあとに食べる一口は、いつもより背筋を伸ばします。

味噌汁は出汁の層が段々に現れます。
底に沈む豆腐は静物画のようで、わかめは波のようにゆれます。
私はスプーンの角度をそっと変え、地図の端まで辿ります。

トレーの置き方と体感の関係

トレーの俯瞰配置図
デタラメ大学食堂のトレーの俯瞰配置図

トレーを机の中央に置くと、肩の力が抜けます。
端に寄せると、視界の余白が増えます。
どちらも体感の強さに小さく影響しているように思えます。

私はいつも、コップを左上に、箸は横に並べます。
配置が整うと、椅子の沈黙がやわらぎます。
整列は、見えない電気に薄い膜をかけるようです。

配膳台から戻る歩数も関係がある気がします。
少し遠回りすると、感覚は滑らかに落ち着きます。
直線で戻ると、椅子の気配が明るくなります。

昼休みの会話、そして午後への余韻

会話は椅子の上で育ちます。
電気の瞬間、言葉はほどけて空中に浮かび、やがて静かに戻ります。
ほどけた言葉は角が丸くなり、続きやすくなります。

午後の予定を相談するとき、皆の声は少し柔らかいです。
ビリビリ椅子の存在は、眠気をひとすじ追い出します。
私たちは立ち上がる準備を、同時に学んでいます。

友人たちの反応を見守る時間

学食のコップに揺れる蛍光灯の光

友人は電気の直後、必ず水を半分だけ飲みます。
残りは話の再開に合わせます。
ルールではありませんが、毎回そうなります。

別の友人は、箸を持ち替えて姿勢を直します。
肩の高さを整え、呼吸を二回だけ数えます。
その二回で、輪郭線がはっきりします。

私は笑いません。ただ動きを追って、次の言葉を待ちます。
会話は小さな雨のように戻り、机の上に薄い光を置きます。

ビリビリ後の集中力と授業

午後の授業では、板書の線がいつもより細く見えます。
チョークの粉は空にひとすじの道を描き、目はその道を迷わず辿ります。
電気の余韻は、眠気の輪郭をぼかします。

ノートの最初の一行目は、少し高い位置から始まります。
姿勢が変わると、文字の骨組みも変わります。
私はゆっくりと行間を広げ、呼吸の速度を合わせます。

帰り道、椅子のことを思い出しても、怖さはありません。
私の中で、それは単なる条件のひとつです。
傘を持つかどうかと同じくらい、静かな選択です。

まとめ

大学の食堂・学食の椅子は、昼休みに目に見えない余白を作ります。
電気の瞬間は短く、味や会話の輪郭だけが静かに整います。
私は明日もまた、同じ席と違う席のあいだで、ゆっくり観察を続けます。

そっと広めてもらえると嬉しいです。
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