炎上ってさ、最初はだいたい小さいんですよ。
ほんのひとこと、「〇〇って不快ですよね?」くらいの火種。
でも気づけば、関係ない第三者まで巻き込まれて地獄絵図になってる。
あれ、なんで?
というわけで本講義では、炎上が個人の怒りから群衆の憎悪へと“連鎖燃焼”していく構造を深堀りします。
キーワードはズバリ、「メンタル・インフレーム」。
これは当学科が誇る造語であり、「感情が熱を持ち、他者に燃え移る現象」を指します。

デタラメ大学 SNS考古学部 炎上資料分析学科 教授。
専門は“デジタル火災史”。
インターネット黎明期、「焼きそば太郎」の名で匿名掲示板に出没。
複数回の炎上と復活を繰り返し、SNS史において“最もスクリーンショットを晒された男”として知られる。
座右の銘は「謝罪文は供物、引用RTは薪。バズとは偶然、炎上は必然。」。
怒りはウイルス、共感は媒介者

SNSでは、怒りは感情ウイルスとして機能します。
「わかる〜」「それな!」と共感された怒りは、他人の感情を通して増殖し、拡散されていく。
これを我々は「共感誘導型炎上拡大モデル(SIFEM)」と呼んでいます。
簡単に言えば、数珠つなぎ構造。
- 誰かが怒る
- それに共感した人が引用RTやリプで怒りを加算
- さらに他の人が「それ見てまた怒る」
- もう本人関係ないけど炎上続行

例えるなら、怒りのマトリョーシカ。
開けても開けても怒ってる。
さらに怒りが怒りを呼び、最初の投稿者がすでに撤退しているのに“火”だけが燃え続ける現象を「感情連鎖式燃焼」と命名。
なぜ怒りは増幅するのか?
怒りって、実は自分だけで抱えてるとだんだん冷めるんです。
でもSNSではそれが難しい。なぜか?
答えは簡単。
怒りに「いいね」がつくたび、脳が報酬を受け取る。
つまりSNSでは「怒ってる自分=バズる可能性がある」という回路ができあがっちゃう。
この現象を当学科では「炎上性自己効力感(FESE)」と呼んでいます。
共感の圧力と“怒ってないとダメ”な空気
問題は、怒ってない人が許されない空気があるってこと。
たとえばこう。
え、別に私はそこまで気にならなかったけど…
こう言おうものなら、「加害者擁護か?」「空気読めないやつ」と火種扱い。
こうして“怒らない派”が口を閉ざし、怒りの同調圧力だけが強くなる。
我々はこれ「メンタル・炭鉱カナリア排除現象」と呼んでいます。
※炭鉱におけるカナリアのように、早めに冷静になる人間が淘汰される現象
怒りという感情
連鎖燃焼と“怒りのお祭り化”


ある程度拡散されてくると、怒りは祭り化します。
最初の文脈なんて誰も覚えてないけど、「とりあえず燃やせ!」って空気になってる。
このとき生まれるのが、炎上の中でも特に強力なフェーズ”義憤インフレ状態”。
- 最初の発言者 → 本当に傷ついていた
- 中間層 → 共感からの怒り参加
- 後半層 → ただの憂さ晴らし
こうなるともう、火は“誰かのため”じゃなくて「燃えてることが気持ちいい」状態になってます。
炎上に群がる状況を「焚き火クラスタ」と呼んでいます。



まるでデジタル焚き火でマシュマロ焼いてる気分
怒り疲れと“感情の燃え尽き症候群”
…で、何が起きるかっていうと、参加者全員メンタルボロボロになります。
- 「あれ?何に怒ってたんだっけ?」
- 「もう見たくないのにTLに出てくる…」
- 「寝ても覚めても炎上スレ見てる…」
そう、これは現代のメンタル炎上症候群(Inflammation of Mind)。
本来なら火を見たら逃げるべきなのに、SNSという無限スクロール型地獄では、人は火の中に自分の心を投げ込む。
解決しないまま忘れられる未来
SNS炎上って、最終的にどうなるかというと、誰も結末を知らないまま忘れ去られます。
- 謝罪したかどうか → 誰も確認しない
- 本人が無事かどうか → 興味ない
- 記録だけ残って拡散される → 永久機関
これを我々は“怒りのファイル化”と呼びます。
感情がファイルされ、検索され、別の怒りの引用元として再利用される。



まさに再炎上可能なサイバー怨霊システム
結論:怒りに巻き込まれたくなかったら、何もしないのが最強
本講義で学んだように、SNS上の炎上は単なる「発言への反応」ではなく、感情の連鎖・拡大・自燃焼というプロセスを伴っています。
だからこそ、すべてが“燃料”になり得る。
正義感で怒ってる人も、便乗で乗ってる人も、黙ってる人も。
つまり、SNSでは「何を言ったか」よりも
「誰かが勝手に怒って拡げるかどうか」がすべて。
最後に。燃えたくない人に伝えたいひとこと。
レポート(コメント)提出